YDN動的ディスプレイ広告(以下、YDNダイナミック)について、耳にしたことはあっても、具体的に「YDNダイナミックって他媒体とどう違うの?」「YDNダイナミックって実際に効果は出るの?」と疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
本記事では、YDNダイナミックの基本と成功ポイントを解説します。
YDN動的ディスプレイ広告(YDNダイナミック)とは?
YDNダイナミックは、CriteoやGoogle動的リマーケティング(GDR)と同様に、ユーザーごとに異なる商品の広告が配信されるダイナミックリターゲティング広告で、商品点数が多く、商品ごとのクリエイティブ作成が難しい企業に最適な広告です。
YDNダイナミックの配信の流れは以下になります。
- ユーザーがサイトを来訪するとタグが発火し、閲覧した商品のIDをYDNが取得
- ユーザーがサイトを離脱しYDNの配信面に来訪すると、広告エンジンが最適なタイミングでYDNのバナーを配信
このように、ユーザーの閲覧商品を基におすすめ商品が選定され、バナーが生成・表示されます。
このような仕組みのダイナミックリターゲティングはYDNの他にもありますが、その中でもYDNダイナミックの特徴は、幅広いリーチと柔軟な運用設計です。
幅広いリーチ
YDNダイナミックの掲載面は以下の通りで、特にYahoo!関連サイトが豊富です。

Yahoo! Japanの利用者数は、他サービスと比較してユーザー数が多く、スマートフォンでは月間6,800万UU、パソコンでは月間2,100万UUのため、多くのインプレッションを期待できます(※Nielsen Netviewによる調査。2020年1月~6月平均)。
このように掲載面・利用者数が多いことから、実際に私が運用しているYDNダイナミックでは、Criteo・Facebook・LINEの他のダイナミック広告と比較してインプレッション数が多く、CPMを抑えた配信ができています。
また、Yahoo!関連サイトに出稿できることがGoogleのGDRとの大きな違いです。
柔軟な運用設計
YDNダイナミックのもう一つの特徴は、以下のように柔軟な運用設計ができる点にあります。
- 最低入札CPCの指定がないことで、CPCを抑えてサイトへのクリック流入数を増やせる
- オーディエンスのリストを組み合わせてCV除外ができ、再CVの見込みが低い商材の場合、購入モチベーションが低いユーザーを除外して配信対象にしないことが可能
- プレイスメント(サイト)別の配信ができるため、自社の商材に合ったサイトへ広告出稿が可能
リターゲティング配信といえばCriteoを運用されている方が多く、Criteoと比較した際のYDNダイナミックのメリットが分からないという方もいると思いますが、上の3点はCriteoにはない、YDNダイナミックならではの改善レバーになります。
YDNダイナミックの出稿方法
配信開始までのステップとしては以下となり、配信開始までに1カ月程度は必要となります。データフィードの構築、タグの実装には時間がかかりますので、余裕を持ったスケジュールで準備を進めましょう。
- 広告アカウント作成
- 広告アカウント承認
- フィード作成
- タグ実装・確認
- クリエイティブ・パラメータ設定
- 配信開始
広告効果を高める3つのポイント
次に、実際に運用する中で効果が上がらない時に注目すべき、3つのポイント(タグ・オーディエンス・クリエイティブ)を見ていきましょう。
推奨タグの設置
みなさんはYDNダイナミックの7種類のタグのうち、必須タグ(商品詳細タグ/カートタグ/購入・申込タグ/CVタグ)のみを設置していませんか?
広告配信を優先させるために必須タグのみで配信してしまうケースがありますが、任意タグ(トップタグ・一覧タグ・検索結果タグ)もしっかり設置することで機械学習が促進され、広告効果が上がりやすくなります。
7種類すべてのタグを設置すると、全階層のユーザーの行動を追うことが可能になります。
例えば、検索結果タグを追加設置すると、商品詳細ページには訪れていないものの特定のカテゴリーに興味があるユーザーを特定できるようになります。またトップページは最も訪問ユーザー数が多い階層のため、トップタグを設置することで配信量を増やして、エンジン学習に使用する母数を増やすことも可能です。

このように推奨タグ設置を行うことで、エンジンの学習の基となる情報を多く与えることができます。
適切なオーディエンス設定
2つ目はオーディエンスです。配信開始当初に設定したオーディエンスの検証と改善はできていますでしょうか?
YDNダイナミックではタグで計測するユーザー行動に基づいて、例えば「商品詳細ページを離脱してから14日以内のユーザー」や「カートページを離脱してから90日以内のユーザー」など、最大540日までの訪問履歴を1日単位で指定してオーディエンスを設定できます。
一般的なECサイトであれば商品詳細ページのみを訪問したユーザーよりも、その商品を実際にカートに追加したユーザーの方が購入のモチベーションが高いため、カートページ離脱後〇〇日のように、いわゆる「かご落ち」のユーザーへのターゲティングが有効な手段になります。
さらに別の視点では、ユーザーの検討期間や複数コンバージョンの可能性もオーディエンスを設定する上で重要なポイントになります。
- 金融商品など検討期間が長い商材であれば、商品詳細ページ離脱1日以内のオーディエンスよりも商品詳細ページ離脱90日以内のオーディエンスの方が、購入見込みが高いユーザーに対して取りこぼしなくリーチできるかもしれません。
- 賃貸領域の不動産であれば、ユーザーは複数の物件を比較してコンバージョンする可能性が高いので、コンバージョンページ離脱〇〇日と、ある物件で既にコンバージョンしたユーザーをターゲティングして、他物件のコンバージョンも狙えるかもしれません。
みなさんも Google Analytics でコンバージョンに至るまでのユーザー行動を研究したり、実際に複数のオーディエンスに広告を配信してその結果を評価するなどして、自社商品にあったオーディエンスの勝ちパターンを見つけていきましょう。
商材の特徴を活かしたクリエイティブ
3つ目はクリエイティブです。みなさんは、訴求ポイントを効果的に表示するなど、クリエイティブの最適化はできていますでしょうか?YDNダイナミックのクリエイティブには、広告管理画面から設定する要素の他にも、データフィードから広告へ反映される要素も多くあります。
特に「評価」や「バッジ」はデータフィードを用意する上では任意の項目になりますが、自社商品を訴求するための重要なクリエイティブ要素になるかもしれないので、マスターデータに情報がある場合は、しっかりと入れておきましょう。

各業種別のおすすめ設定は記事最後のお役立ち資料を参照いただければと思いますが、その中の1つ、旅行業界のおすすめ設定を見てみましょう。

旅行先の景色などをより綺麗に見せるため、画像のサイズ・解像度を大きくすることはもちろんのこと、ユーザーのクリックを促すために「セール価格」を入れての割引率表示や、バッジ表示、「評価」を入れてスター表示を行い、ユーザーに比較検討させやすくすることも、CTR向上のために有効な施策になります。
自社商品に合ったクリエイティブ設定を見つけていきましょう!
さいごに 〜YDNダイナミックのさらに具体的な改善手法〜
いかがでしたか?Criteoの媒体特性と改善ポイントの理解を深めることはできましたか?YDNダイナミックのメリットをフル活用するためには、タグ・オーディエンス・クリエイティブがポイントになります。