こんにちは、フィードフォースで広告運用コンサルタントをしている 黒河 です。コロナ禍以降、オンラインでのコミュニケーションの一環としてライブコマースへのニーズが高まりました。

今回は、新しいショッピングの形態として近年大きな注目を集めているライブコマースについて、そのメリットや成功事例、活用のポイントをまとめました。

また、Instagram・TikTok・TwitterなどSNS各社のライブコマースへの取組みについても紹介します。

ライブコマースとは

ライブコマースはECサイトにおいてリアルタイムの動画配信により商品の購入を促すオンラインでの顧客コミュニケーションの手法です。

テキストと画像のみのコミュニケーションと比較すると、ライブコマースでは動画内で商品やサービスを紹介し、動画を視聴しているユーザーが投稿する質問にリアルタイムで答えるなど、ECでは難しかった即時性と双方向性を兼ね備えている点が優れています。

ライブコマースでは、静止画や文字と比較して伝えられる情報が多く、これまでEC上で伝えることが難しかった商品の使用感など、店頭以外で伝える方法がなかった情報もユーザーに届けられることから、近年注目を集めています。

ライブコマースが盛り上がっている理由

ライブコマースが国内でも盛り上がりを見せている背景としては、コロナウイルスの感染拡大によるおうち時間の増加が大きいといえるでしょう。

余暇時間の増加

まず、ライブコマースが盛り上がっている要因の一つが余暇時間の増加です。

クロス・マーケティングが2021年10月に20~69歳の男女2,500人を対象に行った調査によると、コロナ禍前と比べた余暇時間が増えたと回答した人は全体の24%にのぼります。

(画像引用:https://www.cross-m.co.jp/report/health/20211101corona/)

オンライン接客の需要増加

オンライン接客の需要増加もライブコマース浸透の要因の一つです。

実店舗の営業が制限を受ける中で、これまで実店舗で顧客とコミュニケーションを取って商品を販売していた業種においてオンライン接客の重要性が高まっています。

現在はアパレルや化粧品などの業種を中心にライブ配信で商品の魅力を伝え、疑問を解決するライブコマースの取り組みが盛り上がりを見せています。

ユーザーが店舗に訪れなくても商品の魅力を詳細に知ることができるというメリットがあるため、今後は業種問わず広がっていくと予想されます。

ライブコマースサービスが充実し、浸透

次に、ライブコマースの盛り上がりの背景としてライブ配信に対応するサービスが充実してきたことが挙げられます。TikTokやInstagramなど多くのユーザーを抱えるSNSにおいても、コマースを促すライブ配信の機能を拡充しようとしています。

マクロミルと翔泳社が共同で行った調査によると、2019年時点でネットショッピングのためのライブ配信を見たことがある人の割合は19.1%で、商品を購入したことがある人の割合は3.3%です。

このように、ユーザーがライブコマースに触れる機会は増加しています。

ライブコマースの市場規模

ライブコマースの市場規模の成長性についてはライブ配信市場とBtoCのEC市場の傾向を見ることで予想できます。

CyberZとデジタルインファクトの共同調査によると、ライブ配信の市場規模は、2020年に140億円でしたが、2024年には1,000億円規模に拡大すると予想されています。

これは、ライブ配信が文化として浸透してきたことによるユーザー数増加が影響していると考えられます。

(画像引用:https://cyber-z.co.jp/news/research/2020/0730_9838.html)

次に、経済産業省が発表したデータによるとBtoCのEC市場は2010年から2019年にかけて7.8兆円から19.4兆円規模に拡大しています。

(画像引用:https://www.meti.go.jp/press/2020/07/20200722003/20200722003.html)

また、経済産業省発表の『令和元年度 内外一体の経済成長戦略にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査 pdf)』によると、スマートフォン経由のEC市場は2015年から2020年にかけて1.98兆円から4.26兆円へ2倍以上に拡大しています。

(画像引用:https://www.meti.go.jp/press/2020/07/20200722003/20200722003-1.pdf)

それぞれの市場成長要因をライブ配信が文化として浸透し始めていること、特にスマホ経由でECにて商品を購入する体験が一般化していることと考えると、ライブコマースの市場は一時的なブームではなく、確実に成長していくことが予想できます。

ライブコマースのメリット

実店舗のようにリアルタイムで双方向コミュニケーションが取れる

ライブコマースではリアルタイムによる動画配信を通して接客を行えます。

ライブ配信の中で、動画の視聴者から届くコメントに回答することでオフライン店舗での接客同様に顧客の不安を解消し、商品購入を後押しできます。

また、匿名だからこそ視聴者はコメントしやすく、率直な意見を伝えてくれます。

そのため、これまで実店舗で聞けていたお客様の声もコメントを通して聞くことができ、商品開発に活用できる点も、静止画や文字でのコミュニケーションと比較して優れている点です。

インフルエンサーの力を借りて新規の顧客層にアプローチできる

ライブコマースは自社のSNSアカウントで社員が行う方法もありますが、影響力のあるインフルエンサーを起用、コラボすることでインフルエンサーのファンに対してアプローチする方法があります。

自社のSNSアカウントで社員が行う方法では既存ユーザーに対してリーチすることに留まり、ファン化の施策としては有効ですが新規獲得の施策としてはイマイチです。

そこで、自社の商材と親和性が高いインフルエンサーを起用、コラボすることで、新しい接点を作り商品の初回購入とファン化を促進できます。

ライブコマース成功のポイントは顧客体験

ライブ配信でいかに商品の魅力を伝え、視聴者の購入意欲が高まったとしても、購買までの導線がスムーズでなければ離脱の原因になってしまいます。

ライブコマースでは、ライブ配信からユーザーのストレスなくいかに購買までつなげられるか?つまり、購買までの導線設計含めた顧客体験の提供がポイントになります。また、リアルタイムに視聴できなかったユーザーや、もう一度視聴したいユーザーにむけてアーカイブを用意し、ライブ配信をコンテンツ化することも効果的です。

これらは、ライブ配信プラットフォームを選定する際のポイントにもなります。

次の章では、ライブ配信から購買までシームレスなライブコマースを実現している事例を3つご紹介します。

ライブコマース活用事例3選

ユニクロ

UNIQLO LIVE STATION
( https://www.uniqlo.com/jp/ja/contents/live-commerce/ )

ファストファッションの代表的なブランドであるユニクロは2020年12月からUNIQLO LIVE STATIONというライブコマースの取り組みを始めました。

UNIQLO LIVE STATIONでは、ライブ配信される動画を見ながら、気になった商品をその場で直接購入できるように設計されています。また、ライブ配信後もアーカイブがストックされており、アーカイブからも同じように商品の詳細の確認や購入ができます。

三越伊勢丹

MITSUKOSHI ISETAN ライブショッピング
( https://www.mistore.jp/shopping/feature/shops_f3/live_commerce_sp2.html )

百貨店の三越伊勢丹は2019年2月からライブ配信をはじめました。国内でもいち早くライブ配信にサービスを導入した企業として知られています。

ライブ配信画面の右上に今すぐ購入ボタンがあり、ボタンを押すことでライブ配信で紹介されるすべての商品が掲載されたページへ遷移します。気になった商品を気になったタイミングで購入できるよう設計されている点が特徴です。

生産者とバイヤーによる商品開発や仕入れの背景、商品に使っているこだわり食材などの話が視聴者から人気を博し、2020年のお中元ライブ配信では3万人を超えるユーザーが視聴しました。2020年のオンラインストア全体の売上は2019年の2倍になっており、ライブ配信の影響は無視できないと読み取れる事例です。

SHIPS:SHIPS SHOPPING TV

SHIPS SHOPPING TV
( https://live.shipsltd.co.jp/ )

アパレルブランドのSHIPSは2020年5月からライブコマースの取り組みを開始しました。

ライブ配信画面の左側に紹介中の商品画像と価格を表示しており、ユーザーが気になった商品にすぐアクセスできるよう設計されています。

隔週から毎月の頻度で開催されるライブ配信では新作や人気アイテム、コーディネートを紹介しています。インフルエンサーを起用せずショップスタッフのみで配信を行っており、視聴者の着用イメージが湧き、購入に繋がりやすい点が特徴的な事例です。

SNS各社のライブコマースへの取組み

TikTok:LIVE Shopping

 TikTok:LIVE Shopping
(画像引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000075.000046801.html)

「TikTok売れ」という言葉があるように、TikTokは縦型動画での情報拡散を強みとするアプリです。

2021年9月末に開催されたグローバルイベント「TikTok World」にてLIVE Shopping機能が紹介されました。

TikTok LIVE Shopping では、ライブ配信の中でリアルタイムなコミュニケーションだけでなく、ライブ内で紹介した製品やサービスへの導線を共有し、そのままシームレスに商品購入できるようになります

日本でのLIVE Shoppingのリリースは未定ですが、引き続き注目していきたいと思います。

Facebook・Instagram:ライブショッピング

Instagramライブショッピング
(画像引用:https://about.fb.com/ja/news/2020/06/introducing-facebook-shops/)

米国を含むFacebookやInstagram内で商品購入できるチェックアウト機能を利用可能な一部の国では、「ライブショッピング」が提供されています。(日本では未リリース)

ライブショッピングでは、商品をタグ付けする機能が備わっており、スムーズに購入できます。

残念ながら、日本では「ライブショッピング」は未リリースですが、現在はInstagramストーリーズのライブ配信機能(インスタライブ)がライブコマースに活用されています。

ライブ配信機能では、チェックアウト機能が使えないため、購買までの導線を様々な形で用意する工夫をしています

  • Instagramプロフィール及びInstagramショップに誘導する
  • ライブ配信中に紹介した商品を配信終了後にストーリーズやフィードに投稿する
  • IGTVを利用したアーカイブを用意し、見逃し配信に対応

Twitter:LIVE Shopping on Twitter

LIVE Shopping on Twitter
(画像引用:https://blog.twitter.com/en_us/topics/product/2021/watch–chat–shop–live-shopping-on-twitter)

Twitterは世界最大のスーパーマーケットチェーンであるウォルマートと連携したライブショッピングのテストなど、LIVEショッピング機能の提供に向けて準備を進めています。

他のアプリやツール同様に、ライブ動画で紹介中の商品を表示する機能やECで取り扱っているアイテム一覧を見られる機能などが備えられる予定です。

LINE:LINE STAFF START

LINE STAFF START
(画像引用:https://www.staff-start.com/line-staffstart/)

LINEには、店舗スタッフが友だち追加した顧客に対して直接もしくはまとめて商品やコーディネートの紹介、キャンペーン告知を行えるLINE STAFF STARTというサービスがあります。

LINE STAFF STARTはLINE公式アカウントの機能を活用して、顧客とのコミュニケーションができるオンライン接客ツールで、LINEチャット・メッセージ配信・LINEコール・LIVE配信の機能を提供しています。

LIVE配信機能では、リアルタイムにユーザーとのコミュニケーションが可能で、ライブ中に商品を紹介できます。

まとめ

これまでライブコマースについて市場動向や活用事例、SNS各社のライブコマースへの取組みについて紹介しました。ライブコマースはあくまでも、顧客とのコミュニケーションの一つです。いかに最適な顧客体験を提供できるかが、設計のポイントになるのではないでしょうか?