こんにちは、フィードフォースで広告運用コンサルタントをしている黒河です。

月間アクティブユーザー数が8,900万人以上にのぼり、位置情報の取得を許可しているユーザーが4,600万人存在するLINE。オンラインとオフライン問わず、企業がマーケティング施策を実施する際に無視できないSNSです。

そんなLINEが、2021年の10月末にLINEビジネスマネージャーの提供を開始しました。

LINEビジネスマネージャーを活用することで、LINEのデータと広告主が持つ自社データなどを統合管理して広告配信に活かせます。

今回は新しくリリースされたLINEビジネスマネージャーの仕組みと活用方法についてご紹介します。

LINE Business Guide 2022年1〜6月期版 v1.0より

LINEビジネスマネージャーとは

LINEビジネスマネージャーの概要

LINEビジネスマネージャーは、LINEの法人サービスを通じてユーザーの許諾を得て取得したデータと、広告主が持つ自社データを統合して管理できるサービスです。

サービス間でのデータ連携の幅が広がり、LINEや各サービスアカウントに蓄積されたデータをLINE広告だけでなくLINE公式アカウント等の配信に利用できます。

LINEビジネスマネージャ―
(画像引用:LINE、LINEのデータと広告主が持つ自社データなどを統合管理して広告配信に活用可能な「ビジネスマネージャー」の提供を開始

サービスを横断したプロモーションやキャンペーンを実施することによって今までより効果的で最適なコミュニケーションを実現できます。

将来的には、Zホールディングス傘下のグループ企業が提供しているサービスデータも統合できるようになる見通しです。

リリースの背景

リリースの背景には、サードパーティCookieの規制やiOS14.5以降ユーザーデータ取得が困難になったことがあります。企業のマーケティング手法が大きく変化していく中、企業とユーザーの双方にとって透明性のあるデータ活用が求められています。

LINE社は2019年12月にLINE公式アカウント、LINE広告、LINE Sales Promotionのサービスを横断したデータ活用を実現する「クロスプラットフォーム」構築に関する発表を行いました。

同じタイミングで、各サービスで取得したデータを横断的に広告配信へ活用するクロスターゲティング機能の提供開始についても発表しています。

その後もLINE社は提供する各サービスにおいて人(ID)ベース、つまりLINEのユーザーIDをベースにユーザーデータを蓄積するプラットフォームの構築を進めてきました。

2021年7月にLINE DATA SOLUTIONのサイトが開設され、LINE内のデータを連携する「クロスプラットフォーム」からLINE内外のデータを横断的に活用できる「データソリューション」へ構想が進化しました。LINEビジネスマネージャーはLINE DATA SOLUTION実現に向けたデータ統合基盤として提供されます。

クロスターゲティングとの違い

LINEビジネスマネージャーがクロスターゲティングと異なる点は2つあります。

まず、LINEビジネスマネージャーはLINE公式アカウントに依存せず、公式アカウントを保有していない企業でもデータを横断的に活用できる点です。

クロスターゲティングは、LINE公式アカウントやLINE広告、LINEポイントAD、Talk Head Viewそれぞれで取得したデータやオーディエンス、プロダクトを横断して活用できる機能です。

プロダクトごとに蓄積されたデータを横断的に活用できることが強みでしたが、LINE公式アカウントを保有していなければデータを横断活用できないことが課題でした。

LINEビジネスマネージャーは、ビジネスマネージャーを中心にLINEの各サービスアカウントに蓄積されたデータを横断的に活用できます。

次に、オンラインとオフライン全ての顧客接点で分析やレポーティングを行えることです。
クロスターゲティングは、LINE社が提供するサービス上でデータを横断的に活用する機能であるため、オフラインの顧客接点での分析やレポーティングが困難な点が課題でした。

LINEビジネスマネージャーは、将来的にZホールディングスのサービスアカウントとも連携が可能になるため、オンラインだけでなくオフラインの顧客接点も含めた高度な分析やレポーティング、配信を行えます。(LINEビジネスマネージャーの今後の展開については構想中のため、実装の有無や時期は変更になる可能性があります。)

LINEビジネスマネージャーの主な機能

LINEビジネスマネージャーはデータ蓄積や統合だけでなく、データ活用とコミュニケーションまで一気通貫して行えるデータ活用基盤です。

蓄積・統合できるデータの内容や方法、データ活用とコミュニケーションの活用方法をご紹介します。

接続可能なサービス

2021年10月27日時点では、以下のサービスを接続できます。

・Talk Head View
・LINE広告
・LINE公式アカウント
・LINE NEWS TOP AD

LINEビジネスマネージャ―
(画像引用:LINE、LINEのデータと広告主が持つ自社データなどを統合管理して広告配信に活用可能な「ビジネスマネージャー」の提供を開始

今後、LINE社が提供するサービスが増えるにつれて接続可能なサービスも拡大すると考えられ、Zホールディングスグループのサービスデータや外部データの接続も計画されています。

複数サービスを横断したオーディエンスやLINE Tagの共有・作成

LINEビジネスマネージャーでは、「組織」を軸にサービスアカウント上のオーディエンスとLINE Tagを互いに共有できます。

例えば、LINE広告の広告アカウントやLINE公式アカウントのアカウントをビジネスマネージャーで設定した「組織」に接続することで、広告アカウントで作成していたオーディエンスをLINE公式アカウントのメッセージ配信対象として設定できます。

LINEビジネスマネージャ―
(画像引用:LINE、LINEのデータと広告主が持つ自社データなどを統合管理して広告配信に活用可能な「ビジネスマネージャー」の提供を開始

LINEビジネスマネージャーでは、アカウントを紐付けて「組織」単位でオーディエンスやLINE Tagを共有するだけでなく、作成することも可能です。作成したオーディエンスやLINE Tagは「組織」に接続されているアカウントで利用できます。

LINEビジネスマネージャ―(オーディエンスやLINE Tagの共有)
(※ 画像引用:LINE Business Guide 2022年1〜6月期版 v1.0 P380)

ただし、ビジネスマネージャーからLINE公式アカウントやLINE広告アカウントそのものの閲覧や編集、運用、配信ができるわけではないため、注意が必要です。

LINEビジネスマネージャーでできること

ここまでLINEビジネスマネージャーの概要や機能を紹介しました。

LINEビジネスマネージャ―
(画像引用:ビジネスマネージャー|LINE DATA SOLUTION

ここからは、ビジネスマネージャーを活用したユーザーコミュニケーションについて、広告配信とCRM施策のユースケースをご紹介します。

広告配信

ユーザーの新規獲得|ブランドのメッセージ配信を他ブランドの広告配信に活用

ビジネスマネージャーに紐付いているブランドAのLINE公式アカウントからメッセージを配信。ブランドAの公式アカウントから送信したメッセージに反応したユーザーのオーディエンスをブランドB、ブランドCの広告アカウントに共有し、ブランドAとユーザー層が重なるブランドB、ブランドCの新規獲得向け広告を配信。

LINEビジネスマネージャ―
(画像引用:LINE Business Guide 2022年1〜6月期版 v1.0 P397)

ユーザーアクションの促進|異なる施策の接触データを広告配信に活用

Talk Head Viewの接触データを共有し、広告アカウントでオーディエンスを作成。
Talk Head Viewの動画を視聴したユーザーに対して、LINE公式アカウントのメッセージを配信やリターゲティング広告を配信。

LINEビジネスマネージャ―
(画像引用:LINE Business Guide 2022年1〜6月期版 v1.0 P398)

効率的に購買やファン化を促進|ブランド横断の公式アカウントを広告配信に活用

ブランド横断のLINE公式アカウントでの接触データをもとに、特定ブランドに興味があるユーザーやブランドごとのペルソナに近いユーザーのオーディエンスを複数作成。
複数ブランドでLINE広告を配信し、効率的に購買やファン化を促進。

LINEビジネスマネージャ―
(画像引用:LINE Business Guide 2022年1〜6月期版 v1.0 P395)

CRM施策

ユーザーアクションや理解の促進|個別最適化されたメッセージ配信

LINE NEWS TOP ADの接触状況(動画視聴・クリック)によって公式アカウントのメッセージを出し分け。動画視聴を行ったユーザーにはクリックを促すメッセージを送付し、クリックに至ったユーザーには商品やキャンペーンの理解を促す動画を送付。

スムーズな商品理解や購入促進|広告配信結果をもとにメッセージ配信対象を選定

ブランドを訴求する動画広告やTalk Head Viewに接触したユーザーデータを共有し、オーディエンス化。公式アカウントで広告で配信していないブランド動画や商品詳細動画をメッセージ配信。

アクションに繋がりやすい友だち追加の促進|親和性高いユーザーに広告配信

様々な広告でブランドの理解が進んだユーザーやブランドに関心あるユーザーに友だち追加広告を配信。ブランドと親和性の高い友達を効率的に獲得。

このように、LINEビジネスマネージャーでは施策データの共有やオーディエンスの作成を通じて、効果的に新規ユーザーの獲得や既存ユーザーのファン化に向けた施策を展開できます。

LINEビジネスマネージャーの利用を始めるために

LINEビジネスマネージャ―の設定、オーディエンスやLINE Tagを共有するまでに必要なステップは以下のとおりです。

LINEビジネスマネージャーを利用開始するまでの流れ

  1. ビジネスマネージャー組織の作成
  2. ビジネス情報の登録
  3. 組織へのアカウント接続
  4. 組織とアカウント接続の認証審査
  5. オーディエンスやLINE Tagの共有

詳細は下記をご確認ください。

LINEビジネスマネージャーの認証

LINEビジネスマネージャーでは、オーディエンスやLINE Tagなどのリソースを共有するためには下記2種類の認証審査を行うことが必須です。

  • 組織の認証(組織を所有する法⼈/個⼈事業主の認証)
  • アカウント接続の認証(組織とアカウントの所有者の⼀致を認証)

2種類の認証審査は異なる法人のオーディエンスがビジネスマネージャーを介して相互利用されることを防ぐ目的で、初めて組織にアカウントを接続したタイミングで、同時に行われます。

原則として1つの法人が認証できる組織は1つのみとなっています。

今後の展望

現在、LINEビジネスマネージャーではLINE公式アカウント、LINE広告、Talk Head View、LINE NEWS TOP ADのアカウントを組織に接続し、オーディエンスの共有や作成が行えます。これから、2022年前半にはYahoo!JAPANサービスを中心としたサービスへ接続できるようになり、2022年後半からアカウント接続後のソリューション拡充が行われる予定です。

LINEビジネスマネージャ― 今後の展望
(画像引用:LINE Business Guide 2022年1〜6月期版 v1.0 P377)

連携ソリューションとしてはプロダクト横断での統合コンバージョン計測やオーディエンス生成が計画されており、Zホールディングス内外のデータ蓄積と活用の幅が広がっていくことが予想されます。

LINEビジネスマネージャ― 今後の展望
(画像引用:LINE Business Guide 2022年1〜6月期版 v1.0 P375)

(LINEビジネスマネージャーの今後の展開については構想中のため、実装の有無や時期は変更になる可能性があります。)

さいごに

今回はLINEビジネスマネージャーの仕組みや活用方法についてご紹介しました。
LINEビジネスマネージャーはクロスターゲティングにまだ取り組めていない方も、一通り実施してきた方にも利用することをおすすめします。

もちろん、LINEのアセットを1つの権限に集約したい方にもおすすめできます。ぜひ活用してみてください。