こんにちは!フィードフォースで広告運用コンサルタントをしている杉崎です。
「House of Instagram」はFacebookが主催するマーケター向けのセミナーで、今年で5回目となるイベントです。2021年は、2020年と同様にオンラインでの開催となりました。
コロナ禍において顧客との接点がオフラインからオンラインへのシフトしている中、Instagramはユーザーからどう使われており、企業はどのように活用していくべきか、といったテーマで様々な事例や新機能が紹介されました。
本記事では、その中でも「Instagramの進化・イノベーション」「コマース機能の活用方法」「ポストCookie時代への対応」の3つの講演について、ポイントをまとめてさせていただきました。
サッと読んでいただくだけでInstagramの最新動向を掴める内容になっておりますので、ぜひご一読ください!
Instagramの進化・イノベーション
Facebook Japan 代表 味澤さんのオープニングトーク
まずは、Facebook Japan 代表 味澤さんによるオープニングトークです。
日本は最も急速に伸びているマーケットの1つであり、2020年・2021年のユーザー数は正式に公表はしていないものの、拡大を続けているようです。
9月からは「Love Your Love 好きっていいね」をテーマにコンシューマ(消費者)向けのキャンペーンも行い、テレビCMの放映などにより利用ユーザーは更に広がっていくことが推察されます。

そうした状況下において、Instagramはユーザーが好きな人と物に出会う場所であり、出会いを求めて前向きな気持ちで利用する、「発見したいマインドセットで訪れる場所」と表現していました。
例えば、発見タブから欲しい気持ちを高め、シームレスにInstagram内の商品詳細や購入へ導く、といった具合に、ファネルを縮め、マーケティングのプロセスを一気通貫で実施できる強力なプラットフォームである、とのことでした。
また、日本人は他国(グローバル平均)に比べて5倍多くハッシュタグでの検索をしていたり、全体の42%が興味関心を持った商品・ブランドのプロフィールページを確認するなど、Instagramを通じてブランドのより深い世界観を知ろうとしている傾向が強いようです。
こういった特徴を基に、用意された様々なツールを駆使しメディアプラン、クリエイティブを作成していくことで高い成果を生み出している事例が多く紹介されました。
好きと欲しいを作るインスタグラムのイノベーション
続いて、インスタグラム製品部門 共同責任者 アシュリー・ユキさんによる 好きと欲しいをつくる Instagramのイノベーション のご紹介です。
まずは日本限定で提供が開始された地図検索機能についてです。発見タブから現在地周辺でタグ付けされた人気スポットを見ることができ、例えば「レストラン」「カフェ」「美容院」といったカテゴリでフィルタ表示が可能です。
特定のハッシュタグを検索したときにもマップが表示されます。
例えば「#テイクアウト」を検索すると、周辺でそのハッシュタグを付けられた場所が表示され、近くのテイクアウトできる店を見つけられます。

Instagramのコミュニティの中でユーザーとより有意義な関係を構築するために、アンケート機能を付けたストーリーズでインタラクティブ性を高め、ユーザーとの新たな交流も生まれました。
また、インスタライブではこれまで1人だけだった招待を4人まで増やせるように機能がアップデートされました。
さらに、ライブ中のQ&Aに対して、視聴者が投票できる機能も追加されました。
配信者が、視聴者の求める内容により応えられるようになり、ライブの内容を充実させることが可能になります。

その他、リールやARなどの機能開発も進んでいるとお話されていましたが、筆者が一番気になったのはインスタグラマー・インフルエンサー向けの機能開発についてです。
2022年までに、こうしたクリエイターが収益を上げられるようにFacebookがサポートし、各種プログラムに10億ドル(約1,100億円)を出資するとのことでした。
そのうちの1つが、現在米国でテスト中のアフィリエイト機能です。
クリエイターが商品を紹介し、そこから購入が生まれると手数料が入る仕組みで、全てがInstagram内で完結します。好きなクリエイターへの新たな応援の形として、利用が広がるかもしれませんね。

企業が影響力のあるクリエイターとコラボすることで、例えばブランド理解度が業界平均の3倍上昇するなど、高い成果に繋がっているようです。
こうした背景を受け、クリエイターのサポート強化に繋がっています。
Instagramコマース入門編-ショップ機能で売上を伸ばすには??
次にご紹介する講演はFacebook Japan 営業部長 丸山さんの「欲しい」気持ちを購買につなげる、Instagramコマース入門編 です。
デジタルシフトが進んでいる昨今、ライブイベントや実店舗に行けない分、オンラインの顧客接点や商品紹介の手法が増えました。
あるアパレルメーカーの事例では、2020年6月には実店舗を閉鎖し、オンラインショップのみにビジネスモデルを移行した結果、ユーザーの4割がInstagramからの流入となり、20年2月以降はインスタからのアクセスが2倍に増加しました。
その他にも同様の事例が複数あり、オフラインからオンラインへ移行する中で、Instagramの重要度が高まっているケースが増えているようです。
Instagramの特徴は、顕在化したニーズだけでなく、利用者毎にパーソナライズされたコンテンツが表示され、知らなかった商品やブランドとの出会いから、自然と「好きと欲しい」を作ることができる点です。
発見・認知だけでなく、比較検討・検索のプロセスでも、日本のユーザーはグローバルと比べて5倍多くハッシュタグ検索をしていたり、テキストだけでなく、ビジュアル検索も非常に好んで使われています。既存のECは顕在化したニーズを拾っていくものに対して、Instagramのショップ機能は「発見型コマース」であると表現されていました。

Instagramから購買までのフローの事例としては、以下を紹介されていました。
- 投稿に商品タグを付ける → 商品詳細ページ → 外部ECサイト → 購入
通常のフィード投稿では、外部サイトへのリンクを貼ることができないものの、投稿に商品タグをつけることで、外部サイトへの導線を作り、流入を増やすことができます。
商品タグから商品詳細を見た利用者の割合は、昨年比65%増、他国平均の3倍と、日本のユーザーは特にタグ付けされた商品への注目度は高いことが伺えます。
2018年6月のリリース後も機能開発を継続し利便性を高め、多くのユーザーに対して、知らなかった商品との出会いの場になっています。

このように、コマース領域で重要度が高まっているショップ機能ですが、更に売上を伸ばすためにはどうすればいいのか?といった点については、以下のアイデアをお話されていました。
- 商品紹介しているコンテンツに商品タグを全て付け、導線を強化する
- フィード、ストーリーズ IGTV リール
- コレクション機能やまとめ機能を駆使し、複数商品の中からおすすめを発見しやすくする
- 近日発売予定の商品、今週のトレンド、季節のイベント、他
- ライブ配信で紹介した商品の再紹介&導線強化
- 配信後のライブをIGTVにアーカイブしていつでも見れる状態にする
- フィードで商品タグを付けて再度投稿 紹介した商品を配信後、コレクションでまとめて見つけやすくする
- どの商品を紹介したかタイムスタンプを挿入し、視聴しやすくする
ショップを開設し、コンテンツも十分に拡充した後は、広告を使ってフォロワー以外のリーチを広げたり、既存のマーケティングに活用することを推奨されていました。
iOSのアップデートやサードパーティCookieの規制で活用可能なデジタルデータが制限される中で、今後はInstagramの中でユーザーのシグナルを集めることが重要になってきます。
例えば、ショップの訪問や商品を閲覧した、サイトに訪問したオーディエンスを作ることができたり、その類似オーディエンスも作成が可能です。
また近い将来、Instagram内で決済まで完結できるようになると、より購入に近いカート追加や購入のデータも活用できるようになります。
このように、今後はよりオンサイト(Instagram内での)シグナルを貯めることが成功の鍵となってきます。

ポストCookie時代ーFacebookが推進するコンバージョンAPIとは?
最後に、Facebook Japan 営業部長 黒木さんの 基礎から分かる、データドリブンマーケティングの未来 をご案内させていただきます。
昨今のデジタル広告エコシステムの変化により、あらゆるマーケティング活用へ影響が生じています。
しかしながら、そもそもパーソナライゼーション自体は、選択肢が多い中でも自身に関連性の高いものを提供してくれるメリットのあるものであり、多くの人は高度にパーソナライズされたコンテンツに価値を見出しています。
実際に、72%の生活者がパーソナライズされたメッセージにしか反応しないと回答するアンケート結果もあるように、パーソナライゼーションは、ビジネスを気に入ってくれる可能性の高い人と繋がり、収益、効率、長期的な価値向上へと繋げられるものだ、とお話されていました。
これらのパーソナライゼーションはデータ(シグナル)に支えられているものの、データの欠如により最適化できない場合、広告主の顧客獲得コストが増加します。CookieやデバイスIDの利用制限は加速し、使えるシグナルは減少しています。

そのような中で、マーケターが取り得る新たなデータ活用方法として、コンバージョンAPIの活用をFacebookは提唱しています。
コンバージョンAPIとは、ユーザーのブラウザやデバイス経由で得た情報をFacebookピクセル経由でFacebook広告にデータを送信するのではなく、広告主のサーバーから直接必要なデータを送信するためのツールです。

コンバージョンAPIのメリットは以下が挙げられます。
- データコントロール
- どのデータをいつ共有するかをコントロールできる
- データの信頼性
- ブラウザやデバイスに依存しないデータ連携(ブラウザはデータの接続性により影響を受ける可能性がある)
- データの量
- ピクセルと比べ、より幅広いデータを活用できる
- 電話やCRMから収集したデータなど、ピクセルでは取得できないファネル下部のアクティビティを利用することも可能になる
コンバージョンAPIを実装し、サーバーから全購入情報を連携し広告配信を行った事例では、WEBピクセルのみを活用した広告配信と比べ、23%低いCPMを実現し、顧客獲得単価も11%改善されました。
従来よりもプライバシーセーフな方法によって、ユーザーに関する豊富な情報を連携したことで配信が効率化し、WEBピクセルでの配信よりも良好な成果を得られている企業様が徐々に増えています。
一方で、コンバージョンAPIをはじめとするポストCookie時代の計測機能の導入には技術的な知識が必要となり、導入ハードルが高いという課題も残ります。
弊社、Feedmaticでは、フィードフォースグループ株式会社の一員としての強みを最大限に生かし、アナグラム株式会社と連携した「広告効果計測ソリューション導入支援サービス」の提供を行っています。
まとめ
デジタルシフトが加速する中、新たなInstagramの活用方法も広がっています。コマースで売上をつくる仕組みも整っており、便利な機能開発が今後も進んでいきます。
その流れに上手く乗れている企業はまだそう多くなく、こうした新しい機能・取り組みを感度高く取り入れ、スピード感を持ってトライ&エラーを繰り返していくことが、特に変化が激しい昨今においてはマストであると感じました。
既に多くの利用ユーザーを抱えるInstagramですが、まだうまく活用できていないような企業様が新たなチャレンジを始める、本記事がそんなきっかけとなりましたら嬉しく思います。