こんにちは。フィードフォースで広告運用コンサルタントをしている目黒です。
今回は、実店舗を持っているなら活用したいGoogleのローカル在庫広告について解説していきます。
ローカル在庫広告は2017年にアディダス ジャパンが導入したことでも知られています。
Googleによると、「近くの店舗」で検索された回数は、この 2 年間で 3 倍に増加 ※しているようです。
近くの店舗で欲しい商品の取り扱いがあるなら「今すぐ欲しい!」というニーズは増えており、そのニーズに応える方法として、ローカル在庫広告はまさにベストな施策だと言えます。
ローカル在庫広告は商品在庫のある店舗を表示できる
ローカル在庫広告を一言で表すなら「検索した商品の在庫がある近くの店舗を宣伝できる広告」です。
ユーザーがある商品を欲しいと思って、商品名で検索を行った際に、商品とともに在庫のある近隣の店舗情報も表示されます。そのため、ユーザーは在庫のある近くの店舗に来訪し、欲しいと思った商品を欲しいと思ったときに購入できるというメリットがあります。
ローカル在庫広告は様々な場所に掲載されますが、Google ショッピング広告が表示されている、検索結果の上部に表示されているのを多く目にします。

ユーザーがローカル在庫広告をクリックすると、店舗詳細ページが表示されます。

ユーザーは、店舗詳細ページで在庫情報や営業時間、店舗までの道順などを確認できます。
在庫の有無だけではなく、営業時間や店舗までの道順も分かるため、スムーズに店舗へ誘導できる点がローカル在庫広告の大きな特徴です。
ローカル在庫広告の商品の掲載場所
ローカル在庫広告の商品はGoogle 検索と Google 画像検索に表示されるほか、Google アシスタントと、Google マップの「店舗の商品を見る」ナレッジパネルにも表示されます。
Google 検索の検索結果に表示されるイメージが強いですが、画像検索を始めとするさまざまな場所に掲載されます。
ユーザーはGoogle 画像検索を利用して、欲しい商品を調べることもあるので、Google 画像検索にも表示できるのは大きなメリットと言えるでしょう。
ローカル在庫広告のメリット
ローカル在庫広告のメリットは大きく下記の2点です。
- オンライン上で商品在庫のある実店舗を宣伝し、誘導できる
- オンラインで購入し、実店舗で商品を受け取ることができる
オンライン上で商品在庫のある実店舗を宣伝し、誘導できる
こちらは前述した通り、商品情報だけでなく、店舗情報(在庫の有無、店舗への道順など)を掲載することでユーザーを店舗へ誘導できます。
ユーザーが「今欲しい」というモチベーションを保ったまま店舗での購入に繋げられる点がメリットです。
店舗在庫の有無が検索結果上でわかれば、わざわざ店舗へ出向いたのに在庫が無くて買えないということもなく、在庫の有無を確認するために各店舗へ電話をかけて確認するなどの手間が減るため、ユーザーとしては確実に在庫のあると判っている店舗へ行きやすくなるでしょう。
また、自宅やオフィスなど、ユーザーがよく居る(よく検索する)場所の近くに実店舗があることを知らせることもできるため、購入に至らずとも実店舗の存在を認知してもらえる点もメリットと言えるでしょう。
オンラインで購入し、実店舗で商品を受け取ることができる
ローカル在庫広告では、オンライン上で商品を購入し、近隣の在庫のある店舗ですぐに商品を受け取れます。
ECサイトで商品を購入する場合は、商品の到着まで数日かかることも多いため、「今欲しい!すぐに欲しい!」というユーザーのニーズを満たせるのも大きなメリットです。
この機能は受け取りオプションを設定することで利用可能になります。
受け取りオプション
受け取りオプションは下記の2つが用意されています。
- 「本日店舗受取可」機能
- 「後日店舗受取可」機能
「本日店舗受取可」機能
「本日店舗受取可」機能を使用すると、オンラインで予約または購入して、同日または翌日に店舗で受け取ることができる商品を表示できます。
この機能を使用するためには下記の3つに対応している必要があります。
- 「本日店舗受取可」機能を有効にする
- ウェブサイトで商品を購入し、店舗での受け取りを希望しているユーザーに対して、店頭受け取り、非接触型の受け取りのオプションを提供する
- ユーザーがアプリを使用しなくても、店頭受け取り、非接触型の受け取りを利用できるようにする
ベータ版機能であるため、必ず利用できるわけではありませんが、「本日店舗受取可」機能を使用すると、店頭受け取り、非接触型の受け取りを利用できることをユーザーに知らせるインジケーターが広告の上部に表示されます。
「後日店舗受取可」機能
「後日店舗受取可」機能を使用すると、現在は店舗に在庫はないが、特定の期日内に店舗で受け取れる商品を宣伝できます。
ローカル在庫広告を出稿するために必要な準備と手順
実際にローカル在庫広告を出稿するためには何を準備すればいいのでしょうか?
出稿に必要な準備物は下記になります。
- Google Merchant Center(GMC)
- Google My Business(GMB)
- Google Adsのアカウント
- ローカル在庫広告用のデータフィード
また、ローカル在庫広告を出稿する場合は下記の7ステップに則って設定を行います。
- 各アカウントを設定する
- GMCでローカル在庫広告または無料ローカル商品リスティングを有効にする
- Google My Business(GMB)でビジネスプロフィールを設定する
- GMCでビジネス プロフィール マネージャーを使用してビジネス プロフィールをリンクし、ビジネス グループを選択する
- フィードを作成、登録、送信する
- 在庫確認をリクエストする
- ローカル在庫広告向けに Google 広告を設定する
ローカル在庫広告の出稿方法
各アカウントを設定する
Google Merchant Center(GMC)
まずはGMCのアカウントを開設して、設定を行いましょう。
GMCの設定方法についての詳細は以下の記事をご覧ください。
店舗詳細ページのブランディングに使用する長方形のロゴのアップロードは必須ではありませんが、強くおすすめします。
Google My Business(GMB)でビジネスプロフィールを設定する
GMBでビジネスプロフィールを設定します。
ここではPCでの設定方法をご紹介します。Androidで設定する場合はこちら、iPhoneやiPadで設定する場合はこちらをご参考ください。
- PCでログインして Google マップを開きます。
- 次の 3 つの方法でビジネスを追加します。
- 検索バーに住所を入力します。左側のビジネス プロフィールで、[ビジネス情報を追加] をクリックします。
- 地図上の任意の場所を右クリックし、[ビジネス情報を追加] をクリックします。
- 左上のメニューアイコン メニュー次に [ビジネス情報を追加] の順にクリックします。
Google 広告アカウント
Google広告のアカウントを作成します。
GMCでローカル在庫広告または無料ローカル商品リスティングを有効にする
GMCでローカル在庫広告または無料ローカル商品リスティングを有効にする必要があります。
手順は以下です。
1.Google Merchant Center アカウントにログインします。
2.ナビゲーション メニューの [成長] をクリックします。
3.[プログラムの管理] をクリックします。
4.ローカル在庫広告または無料ローカル商品リスティング プログラム カードで [開始] をクリックします。

5.実店舗のある国を選択します。

ビジネス情報を追加する
GMCでビジネス情報を追加します。
ショップ名は広告と無料リスティングに表示されますので、会社名やウェブサイト名など簡潔で分かりやすい名前を設定しましょう。
ショップ名が長すぎると代わりにウェブサイトのURLが表示される場合があります。
また、「Inc.」、「Co.」、「GmbH」などの不要な接頭辞や接尾辞、顔文字や絵文字など、使用が推奨されない言葉や文字があるため注意しましょう。
GMCでビジネス プロフィール マネージャーを使用してビジネス プロフィールをリンクし、ビジネス グループを選択する
ローカル商品を広告や無料リスティングに掲載するには、ローカル在庫広告用のフィードが連携されているGMCにビジネス プロフィールを直接リンクする必要があります。
GMCとビジネスプロフィールのリンク方法は下記です。
1.GMCにログインします。
2.ツールと設定アイコンをクリックします。
3.[設定] で [リンクアカウント] を選択します。

4.[ビジネス プロフィール] タブをクリックします。
5.メールアドレスが [ビジネス プロフィールのオーナーとマネージャー] に表示されている場合は、[リンク] をクリックして終了します。

6.メールアドレスがリストにない場合は、[ビジネス プロフィールのオーナーとマネージャー] の下にあるプラスボタンをクリックします。
7.GMCへのログインに使用しているメールアドレスを入力し、ビジネス プロフィールに関連付けます。
8.GMCの管理者でありビジネス プロフィールのマネージャーまたはオーナーであれば、自動的にリンクがリクエストされ、承認されます。
9.リンクが自動的に承認されたことを確認するために、ページの更新が必要になる場合があります。
フィードを作成、登録、送信する
ローカル在庫広告の仕様に沿ってフィードを用意します。
オンライン商品(ショッピング広告または無料リスティング)とローカル商品(ローカル在庫広告または無料ローカル商品リスティング)に別々のメインフィードを登録する場合は、両方のフィードで同じ商品を登録しないようにしてください。
必須の属性を指定しない場合、その商品が検索結果に表示されなくなる可能性があります。また、推奨される属性を指定しない場合、広告パフォーマンスに影響が出る可能性があります。

データフィードを作成したらこちらの手順に則ってフィードのアップロードを行いましょう。直接アップロード、FTPアップロード、SFTPアップロード、APIに対応しています。
在庫確認をリクエストする
商品データを送信したら、在庫確認手続きを開始できます。
実店舗の商品情報がデータフィードで登録されている情報と一致しているかどうか確認します。
在庫確認の手順は下記です。
- 販売者のアカウントに、在庫確認の準備が整ったことを確認するメールが届く。
- 店舗担当者の連絡先情報と、在庫確認を実施できる時間帯を連絡する。
- 在庫確認が可能な日に、店舗の担当者宛に調査フォームと、店舗のデータフィードからランダムに選択した商品一覧のメールが届く。
- 店舗の担当者は、これらの商品情報と店舗の実際の在庫が一致していることを確認する。いくつかの商品の写真を撮影する場合もあり、写真には商品のラベルと表示価格もしくは価格タグがはっきり写っている必要がある。
この作業をすべて終えるのに、1 店舗あたり約 4 時間かかります。
ローカル在庫広告の出稿を開始した後も、Googleは電話または実店舗への在庫確認を継続して行っています。そのため、出稿開始の時だけ在庫状況を繕っても意味がありませんし、そもそもユーザー体験を損なうことになってしまうので、しっかりと店舗の在庫状況とフィードの内容が一致するように努めましょう。
ちなみに、買い物客が増える時期や曜日に電話確認をすることはないとのことなのでご安心ください。
ローカル在庫広告向けに Google 広告を設定する
最後に、GMCとGoogle 広告のアカウントをリンクして広告を設定すれば配信が可能です。
GMCとGoogle 広告のアカウントのリンク方法
1.GMCのツールアイコンをクリックし、[設定] で [リンク アカウント] をクリックします。

2.[Google 広告] を選択します。
3.[お客様の Google 広告アカウント] で、リンクする Google 広告アカウントのお客様 ID を見つけます。お客様 ID は、Google 広告アカウントにログインしているときに、各ページの一番上、メールアドレスの近くに表示されます。
4.[アクション] で [リンク] をクリックします。

ショッピング キャンペーンでローカル商品を有効にする
Google 広告アカウントにログインし、次のいずれかのオプションを選択します。
- オプション 1: ショッピング キャンペーン
- 既存のショッピング キャンペーンの名前をクリックするか、既存のキャンペーンがなければ新しいショッピング キャンペーンを作成します。
- [設定] > [ショッピング キャンペーンの設定] > [その他の設定] > [ローカル商品] に移動し、[実店舗で販売している商品の広告を有効にする] チェックボックスをオンにして [保存] をクリックします。
- オプション 2: スマート ショッピング キャンペーン
- 既存のスマート ショッピング キャンペーンの名前をクリックするか、新しいキャンペーンを作成します。
- [設定] > [ショッピング キャンペーンの設定] > [その他の設定] > [ローカル商品] に移動し、[実店舗で販売している商品の広告を有効にする] チェックボックスをオンにして [保存] をクリックします。
まとめ
筆者がさまざまな商品を検索してみた感覚ですが、ローカル在庫広告を実施できている広告主は多くなく、まだ一般的な広告施策として普及していないかと感じています。
たしかに実店舗との連携であったり、オンライン広告を担う部署の一存で実施できる施策ではないため、導入のハードルは他の広告施策と比較して高いかも知れません。
しかし、ユーザーにとって社内事情は関係ありません。
商品を欲しいと思ったときに検索し、欲しい商品がある場所で購入する。
このユーザーの欲求に真摯に向き合っていくことが大切だと考えています。実店舗を多く持っているブランドほど効果的な施策だと思うので、ぜひローカル在庫広告を検討していただければと思います。