こんにちは!Feedforceの広告運用コンサルタントをしている夏目ひかるです。
今回はダイナミック広告の内容も交えながらGoogleアプリインストールキャンペーンの効果的な活用方法について解説していきます。
アプリ広告市場は着々と規模が大きくなっており、成長拡大市場と言えます。
コロナ禍でおうち時間が増えたことにより、モバイル端末の需要が世界的に高まりました。
ここ数年でデジタル化は進んでいたものの、今回の新型コロナウィルス感染症の影響によってさらに加速しています。
そこで多くの企業がモバイルアプリの重要性に気づき、アプリ運用に乗り出しており、アプリからのビジネス拡大に向けて動き出しています。
この記事では、これからGoogleでアプリキャンペーン広告を始めたいけどよくわからない方向けに、Google 広告のアプリキャンペーンの基礎を解説していきます。
Google 広告のアプリキャンペーンとは
Google 広告のアプリキャンペーン(以下、Googleアプリ広告)は、Google検索結果、Google Play、YouTube、Google 検索の Discover、Google ディスプレイ ネットワークといった Google の主要サービスで自社アプリを宣伝できます。
広告をクリックするとWEBサイトではなく、AndoroidはGoogle Play ストア、iOSはApple Storeへ遷移しインストールを促すことが可能です。
iOSとAndroidユーザーどちらにも配信が可能で、『アプリをインストールしてくれそう』『アプリを使ってくれそう』と、Googleが学習し選定されたユーザーに対し自動的に広告が配信がされます。
特徴
Googleアプリ広告の1番の魅力と言っても過言ではないのは、膨大な配信オーディエンスです。
効果的な配信には十分なオーディエンス量が必要とされていますが、Googleは何十億という圧倒的なUU数を保有しているプラットフォームです。
最も配信量を見込め、配信パフォーマンスも安定するため、インストール数を増やしていくためには必ず必要となる媒体と言えます。
またiOSよりもAndroid面への配信が圧倒的に多く、CPIも安くなるケースが多いです。
これはAndroidがGooglePlay面を保有していることが影響されます。
しかし、AndroidよりもiOSユーザーの方が日本では多いため、GoogleアプリキャンペーンでもiOSユーザーを獲得することがビジネス拡大の上で重要になって参ります。これに関しては後述のGoogleアプリ広告運用のベストプラクティスの章で詳しく解説します。
仕様(ターゲティング/クリエイティブ)
設定項目は以下になります。
<ターゲティング>
- OS(AndroidかiOS)【必須】
- 地域【必須】
- 言語【必須】
- 予算【必須】
- コンバージョン目的【必須】
- ターゲティング【必須】
- 目標インストール単価【推奨】
<クリエイティブ>
- テキスト【必須】 :タイトル最大5個(半角90文字)、説明文最大5個(半角90文字)
- 動画【推奨】 :最大20個
- HTML5【推奨】 :最大20個
- 静止画【推奨】 :最大20個
形式 | サイズ |
.jpg、.gif、.pngのいずれか | 1200×628(マスト)、320×480、300×250、320×50ピクセルなどのフォーマットが推奨 |
なお、除外オーディエンスの設定はできませんが、インストール訴求を目的としたアプリ広告では、該当のアプリをインストール済みであるとみなされたユーザーを自動的に除外して配信されます。
また、既存ユーザーへのリテンションを目的とした、「アプリエンゲージメントキャンペーン」では、除外オーディエンスの設定が可能です。
スタティックだけじゃない!ダイナミックアプリ広告もあります!
ベータ機能として、アプリダウンロード訴求の ダイナミック広告配信が可能となりました。
アプリ詳細内容をデータフィードとして連携することにより、アプリキャンペーンにより多く情報を与え機械学習により改善を図る配信機能です。
ベータ版テストの結果によれば、フィードを導入した広告主は、Google 検索経由のインストールが平均 6% 増加し、Google のネットワークに含まれるサイトやアプリでアプリ内ユーザー行動(ログイン、購入など)が平均 17% 増加しています。※
参照:アプリ キャンペーンのフィードで、より関連性の高い有益な広告エクスペリエンスを提供する – Google 広告 ヘルプ

クエリの利用範囲が拡大され、キャンペーンの規模が広がる
フィードに掲載されている商品名や説明文などの情報をもとに、google.comで入札するキーワードが拡張されます。フィードから Google 広告のアルゴリズムに送信されるシグナルが増えるほど、アプリ広告がユーザーのクエリと一致し、配信される可能性が高くなります。
また、ユーザーの検索キーワードをもとに広告の見出しや説明文が最適化されます。

画像とテキストの商品情報をダイナミック形式で表示
フィードを介して、商品やサービス情報などのデータをアプリキャンペーンにインプットをすることで、ユーザー興味関心に基づいた関連性の高いフィード情報を画像とテキストで表示させます。
フィードに掲載されている画像や商品名などの詳細情報をダイナミック広告形式で表示します。

動画広告配信時、ダイナミック広告形式で表示
インストリーム広告配信の際に、 ユーザーに関連がありそうな商品詳細(画像・商品名など)を動画下部にダイナミック広告形式で表示させます。

配信面以外の部分(入札方法)などは通常のアプリキャンペーンと同じです。
Googleに申請を依頼し、申請が通過したらご利用が可能となります。
必須ではありませんが、Deferred Deep Link(ディファード ディープリンク)が実装されていると、広告の商品画像をクリックした後アプリ起動した際、商品詳細ページに遷移させることができます。
ディープリンクのようにアプリ内コンテンツを表示しますが、
アプリが未インストールの場合は、ディープリンクをDeferred(遅延)し、
アプリのインストール後、特定のアプリ内コンテンツ(Feedでクリックした商品ページなど)を表示するものです。
(DDLなしだと、インストール後、アプリのトップが表示される形になり、特定のページには遷移いたしません)
使用するためには、DDLに対応している SDKの実装 (Firebaseなど) が必要となります。
クリエイティブと配信面
クリエイティブ
動画ツール (beta)
特にiOSにおいては、動画の配信が比較的多くなっております。
また動画を保持していない場合、 現在、テンプレートをベースに広告動画を簡易的に作るツール「Video Builder」(ベータ版)を申請ベースでGoogleよりご案内が可能になっております。
バナーサイズ
アプリキャンペーンで最も多く配信があるバナーサイズは 1200 x 628です。
こちらは必ず用意することを推奨しております。
その他、 以下のサイズのバナーをご入稿いただけます 。(150KB以下)
サイズ |
320×50, 300×250, 320×480, 300×50, 728×90 (リーダーボード), 480×320, 480×32, 320×100, 1024×768(タブレット), 1200×628 |
同じデザインでも全てのサイズを入稿することで、異なる配信面でもユーザーにアプローチできますので、獲得スケールの向上が期待できます。
インストール数や、アプリ内行動ユーザーを増やしていくためには、クリエイティブが大切です。
配信面
GooglePlay、Google検索、アプリを起動したとき、Google Display Network、YouTube面にアプリ広告が配信されます。

Google広告ヘルプ:https://support.google.com/google-ads/answer/6247380?hl=ja
キャンペーンとターゲットユーザーについて
キャンペーンには3種類のタイプがあり、目的に応じて選択することができます。
キャンペーン目的 | キャンペーン |
インストール数を最大化したい | AC for Install |
インストール数が欲しいがユーザーの質も捨てきれない | AC for Install Advanced |
課金等アプリ内行動重視。CPIにこだわりはない | AC for Action |
また、キャンペーン目的と、以下ターゲットユーザーの設定を掛け合わせることで
よりビジネス目的に合わせた柔軟なターゲティング設定ができます。
【キャンペーン:AC for Install】
アプリインストールがコンバージョンの場合の設定

重視している要素を『インストール数』にし、『すべてのユーザー』をターゲティングに設定します。
【キャンペーン:AC for Install Advanced】

青の矢印の箇所に、コンバージョントラッキングの設定から定義済みのアクションを選択でき、そのアクションが見込める可能性の高いユーザーに対し、配信の最適化がされます。
セッション開始など頻繁に発生するアクションを最適化すると、特に動画アセットの場合、通常よりコンバージョン数が増えることがあります。
【キャンペーン:AC for Action】

これまでは一番上の重要視している箇所を”インストール数”としていましたが、”アプリ行動の数”にすることで、青の矢印の箇所で最も重要視するユーザー行動を選択することができます。
一番下の目標アクション単価では青の矢印で選択した行動に対する目標単価が設定できます。
運用ポイント
最初はインストール目的の『AC for Install』で実施し、徐々にアプリ内行動での購入にも繋げる運用にシフトするケースが多いです。
また予算が比較的大きい場合は、『AC for Install』と『AC for Action』のキャンペーンを2つ並走することもありますが、『AC for Install Advanced』が2つの良いとこどりの機能を果たすため、こちらもおススメになります。
iOSとAndroidの両方を配信する場合、OSごとにキャンペーン作成が必要になります。
『AC for Install』と『AC for Action』のキャンペーンを2つ並走する場合はキャンペーンが4つできるため、管理や工数も加味した上で設計するとよいと思います。
また途中でキャンペーン目的を変更する場合、既存のキャンペーンで変更するのではなく、新しいキャンペーンの作成がGoogleの推奨です。
既存のキャンペーンで設定を変更すると、これまでの学習データが残っているため
新たな変更内容の適用までに時間を要してしまいます。
Googleアプリ広告運用のベストプラクティス
①正確なデータインプット、十分な学習機会
- インストール数に最適化 (Install, Install Advanced):
1日50件以上のインストール獲得が目安 → 日予算: 目標CPI x 50倍以上 - アプリ内行動に最適化 (Action):
1日10件以上のコンバージョン獲得が目安 → 日予算: 目標CPA x 10倍以上
本来配信されるべき配信の機会損失が起こらないよう、日予算が少なすぎたり、入札単価が厳しすぎて日予算に対して未消化分が必要以上に発生してしまうなどのことがないよう注意しましょう。
②継続的なクリエイティブの検証
アプリ広告においてクリエイティブの検証は非常に重要です。
設定された広告アセットから各配信面で最も効果的なアセットが選択され、配信されます。
バナーサイズの網羅や、動画アセットの追加、テキストの追加・変更などあらゆる広告フォーマットを網羅し、より良いパフォーマンスを追求して新しい広告も試していきましょう。
③iOSユーザーの獲得
2019年上半期、世界中の消費者はiOSのApp Store上で 255 億米ドルもの出費をし、Google Play 上での推定消費額を80%上回りました。これはAndroid よりもiOSユーザーの質が高いことを表しており、このような価値あるユーザーを積極的に獲得していくことが重要になってきます。
しかし、実際に入札や予算を同じ設定にして配信してみると、ユーザーの傾向のほか、配信面の若干の違い(Playストア配信の有無など)が起因して、Androidの方が多く配信が出ております。
質の面のほか、インベントリの差もあることから、Android とは別途でiOS のユーザー獲得戦略を練ることが必要不可欠です。
ここではiOSユーザーを効率良く獲得するために必要な設定を解説していきます。
多様な動画アセットの入稿
iOS アプリプロモーションのトラフィックのうち、50%以上を動画配信が占めています。
動画のないキャンペーンは、スケールの拡大と良質なインベントリでの配信機会を逃しています。
そのため、獲得スケールの拡大には動画は不可欠で下記の動画を入稿することが推奨です。
- 動画は良質なユーザーを獲得しやすい傾向にあり、動画 1 本の追加でコンバージョン獲得が16% 増加したケースもある
- 3 サイズの動画を入稿する: 横型(16:9), 縦型(2:3), 正方形(1:1)
- 縦型動画はCVRが横型対比最大60%改善する可能性がある
- 各サイズ動画の尺を複数用意する(例: 10-20秒 ver. と 30 秒以上 ver. を各サイズ用意)
高価値な iOS ユーザーに向けて高めの入札をする
ダウンロードあたりの課金額に基づくと、iOS ユーザーは Android に比べて高価値な傾向にあります。国により差はありますが、GooglePlayの 2-4 倍が iOSのバリューの中央値になっています。
- 高価値なユーザーの獲得のため Android より少なくとも1.5-2倍の単価で入札する
- iOSは比較的動画アセットの配信が多いため、高めの入札で動画のオークションでの競争力を確保する
最適化のためにより多くのデータ収集を
iOSのキャンペーンはAndroidよりも最適化と安定に時間を要するため、開始して3週間は変更を加えないことが非常に重要です。
- AC for Installs(インストール目的): tCPIの50倍以上を日予算として設定することを推奨
- AC for Actions(アプリ内行動目的): tCPAの20倍以上を日予算として設定することを推奨
日々の獲得コンバージョン数がキャンペーン成功の鍵です。より多くのコンバージョンデータを機械学習に投じるほど、迅速に学習が進み KPIに向けた最適化が働きます。
④新機能!広告グループの活用
1つのキャンペーンに対して複数のテーマで広告グループを作成し、クリエイティブアセットを管理することもできます。
コンバージョン目的によってクリエイティブアセットが異なる場合などに活用したりします。(下記例)

運用実績
配信開始して1ヵ月半のECアパレルのアプリインストール広告の事例です。
CPIを同じぐらいに揃えるため運用していくとAndroidはiOSの配信コストの3倍以上となりました。

まだ動画アセットなど入稿前の数値なので、今後クリエイティブの追加をしていき、iOSのボリュームも伸ばしていきたいと思います。
さいごに
Googleの主要ネットワーク全てで自社アプリの宣伝が可能ですので、これまでリーチできていなかったユーザーにも認知やインストールを促すことができます。
アプリは今後どんどん利用が拡大していく可能性が高いため、アップデートも日々活発に行われています。
インストールを促すだけに留まらず、ビジネス拡大に合わせた運用を見極めながら上手く活用していきましょう。