こんにちは。Feedmaticで広告運用コンサルタントをしている松本です。
アプリ広告の利用は、アプリのインストール数を増加させたい、アプリ内のユーザー行動を活性化させたいという企業にとって有効な手段の一つといえます。
ただし、Web広告と違い、アプリ広告の配信にはアプリ広告専用の「広告効果計測SDK」が必須となります。
この記事では、広告効果計測SDKってなに?という基本のおさらい、広告効果計測SDK実装時のポイント、国内の2大SDKツールをご紹介します。
広告効果計測SDKとは
広告効果計測SDKとは、アプリ内のユーザーの行動を、広告の成果として計測するためのツールです。
ちなみに、SDKとは「ソフトウェア開発キット(Software Development Kit)」の略称で、特定のカスタムアプリやソフトウェアを開発する際に必要なツールのセットのようなものを指します。
広告効果計測SDKの活用で、開発コスト・運用コストを最小限に抑えてアプリに広告効果計測に必要な設定の追加が可能になります。
なぜ広告効果計測SDKが必要なのか
広告成果を正しく把握するため
アプリ広告は、Web上に表示された広告からアプリストアやアプリへ遷移を促す仕組みとなっているため、一度セッションが遮断されてしまうという特徴があります。
つまり、通常Web広告で用いるようなURLパラメータを付与しても、アプリのインストールや、アプリ内での行動を正しく追うことかできないのです。
そこで必要になるのが、アプリ広告の効果計測に用いるSDKです。
まずアプリに広告効果計測SDKを組み込み、専用のURLを発行します。
この専用URLを用いて広告を配信することで、どのような経路でアプリをインストールしたのか、または起動後にどのような行動をしたのかなどの計測ができるようになるのです。
成果報酬型の広告配信に必須
また、この広告効果計測SDKを導入していないと、アプリ内コンバージョン数に応じて成果報酬が発生する配信媒体には広告出稿ができなくなります。
広告効果計測SDKを導入していないアプリでは、どの媒体からどれくらいのコンバージョンを獲得したかを正しく計測できないためです。
どの媒体で配信する際でも正しく成果を計測することは大事ですが、特に成果報酬型の広告配信を検討している際には注意しましょう。
広告効果計測SDKでできること
広告効果計測SDKの活用で、主に以下が可能になります。
- 正確なアトリビューション計測
- ダッシュボード上での配信成果分析
- 媒体へのコンバージョンデータ連携
- アドフラウド(広告詐欺)対策
アトリビューション計測
アトリビューションとは、コンバージョンポイントに流入してきたユーザーの経路を特定し、各メディアの貢献度を計ることです。
アプリ広告では、どの広告媒体を経由してインストールに至ったのかといった広告成果を正しく計測することを指します。
アプリ広告では、事前に計測したいアプリ内イベントを正しく設定しておくことで、アプリ内でのユーザー行動も正確にモニタリングできるようになります。
例えば、EC系のアプリであれば、以下のようなイベントを設定できます。
- 登録
- ログイン
- 商品の検索
- リストの閲覧
- 商品の閲覧
- ほしい物リストへの追加
- カートへの追加
- 最初の販売
- 販売/精算
(引用:アプリイベント – Adjust Help Center)
また、ゲームアプリの場合は、以下のようなイベントを設定しておくとよいでしょう。
- チュートリアルの完了
- レベル達成
- ガジェットの購入
- コイン100枚の購入
- コイン500枚の購入
- コイン1,000枚の購入
- 登録
- キッズモード(収益)
- Facebook/ソーシャルメディアのシェア
- 友達を招待
(引用:アプリイベント – Adjust Help Center)
これらのアプリ内イベントは、各広告効果計測SDKごとに用意されているイベントをもとに設定・カスタムが可能です。
実際の利用にあたっては、まず広告効果計測SDKのヘルプページなどにてどのような計測イベントがあるのか確認をしてみてください。
ダッシュボード上での配信成果分析
広告効果計測SDKには、各メディアソースについて分析できるダッシュボードが搭載されています。
広告配信媒体との連携で、インプレッション数・クリック数などの配信レポートはもちろん、ユーザーあたりのセッションやLTVなど、詳細なカスタマージャーニーの分析が可能です。
広告配信媒体の学習促進
広告配信媒体と広告計測SDKとの連携で、媒体側にコンバージョンデータを返せるようになります。
この仕組みにより、Facebook やCriteoなどの広告媒体は獲得したいアプリ内コンバージョンについて学習をすすめ、配信面やクリエイティブ、配信オーディエンスなどの最適化が可能になります。
より効率的に配信を進め、広告コストを無駄にしないためにも、ぜひ活用したい機能です。
アドフラウド(広告詐欺)対策
アドフラウドとは、本来無効なインプレッションやクリックを水増しすることで、広告費を余分に支払わせる広告詐欺のことを指します。
アドフラウドにはさまざまな手口があり、日々進化しています。そのため、アドフラウドに対応できるセキュリティを搭載したSDKの導入で、対策をとっておくことが大事です。
アプリに広告効果計測SDKを実装する際のポイント
ここで、アプリに広告効果計測SDKを実装する際の手順をご紹介します。
あくまで一例にはなりますが、ぜひ参考にしてみてください。
- 導入する効果計測SDKを選ぶ
- 広告効果計測SDKに対象アプリを登録する
- 計測するアプリ内イベントを設定する
- アプリに広告効果計測SDKを実装する
- 媒体と広告効果計測SDKを連携する
- 広告の入稿・配信
また、実装にあたっては、以下のポイントに気をつけることをおすすめします。
広告効果計測SDKの選定は丁寧に
広告効果計測SDKの選定は慎重に行いましょう。
一度利用しはじめたSDKを移管することは可能ですが、移管前のデータの引き継ぎが難しいところが難点です。
各SDKの特徴を確認し、より自社で活用したい機能やサービスがあるものを選び、使い続けることが理想です。
イベントをもれなく設定する
計測対象とするイベントは、広告計測SDKにて設定する必要があります。
このとき、コンバージョンポイント以外のイベントも複数設定しておくことで、ユーザーの行動経路を図りやすくなります。
例えば、EC系のアプリで「商品の購入」をコンバージョンポイントと置く場合は、商品詳細の閲覧や、お気に入りの追加、カートの追加、クーポンの取得など、購買の前にユーザーが経由するであろうイベントを網羅的に設定しましょう。
国内2大SDK「AppsFlyer」と「adjust」について
国内では、さまざまな企業がSDKツールを提供しています。
今回は、その中でも「Adjust」と「AppsFlyer」についてご紹介します。
AppsFlyer
AppsFlyerは、世界でのマーケットシェア約72%を誇る、イスラエル発のアプリ計測専門ツールです。主要な広告プラットフォームは網羅されており、どの媒体でも使いやすいSDKと言っていいでしょう。

AppsFlyerは、機能面やセキュリティ面でより突出した特徴を持っています。
AppsFlyerは完全従量課金制で、インストール数に応じて利用料が変わる仕組みです。また、すべてのプランで使える機能が多く、アプリを削除したユーザーを計測する「アンインストール計測」や、指定した期間のインプレッションもしくはクリックを計測対象とする「ルックバック期間設定」などの便利な機能を使えます。
さらに、セキュリティ面の強化にも力をかけており、世界的な基準や規制に準拠した独自のコンプライアンスおよび認定プログラムを有しています。
料金体系には、一部利用可能な機能を制限した状態で、無料でAppsFlyerの使用感を体験できるフリープランが用意されています。
本格的な導入の前に、お試しで無料プランを利用してみるのもよいでしょう。
adjust
adjustはドイツ初のアプリ計測ツールです。世界でのシェアはAppsFlyerほど大きくはありませんが、日本国内では40%以上のシェアを獲得している広告効果計測SDKとなっています。
AppsFlyer同様、主要な広告プラットフォームとの連携は網羅されています。

adjustは、サポートや支払いがより日本のユーザーに寄り添う形となっている点が魅力的です。
問い合わせに対してのレスポンスも早く、メール・電話の両方に対応しています。
また、日本円での支払いが可能で、銀行振込の場合でも海外送金などの手順を踏む必要がありません。
30日間の無料トライアルが用意されているのも特徴です。
使用感を掴むためには、まずは無料トライアルの利用をおすすめします。
さいごに
本記事では、アプリ広告を配信する際に広告効果計測SDKが必要な理由や、代表的なSDKについてご紹介しました。広告効果計測SDKの理解や選定にお役立ていただければ幸いです。