こんにちは。Feedmaticの広告運用コンサルタント兼チームリーダーをしている 北島 です。

今回は一人の広告運用者として、またCriteoエキスパートとして、私自身が広告運用において重要視している考え方について紹介します。
広告運用者としてより多くの考え方を身につけたい方の助けになれば幸いです。

日本国内の全広告代理店の内わずか3名。Criteoの「Expert」認定制度にて、Feedmatic 広告運用コンサルタント北島舞が認定されました!

運用者に求められていることはブラックボックスを読み解く力

Web広告において入札やクリエイティブ調整の自動化が進んでいることから、以前よりも運用者が直接調整を行う要素が減ってきました。

そしてその自動化されている部分については、いわゆる媒体社のみが詳細を知っているブラックボックスという状態で、詳細なアルゴリズムについて明かされていません

しかし、多くの場合ブラックボックスと言ってもまったく中身が分からない状態ではなく、自動化で重視している要素や、学習に必要な情報は開示されていることがほとんどです。

そのわずかな情報を手掛かりにブラックボックスを読み解くことができれば、分析を行う上で「ここからは自動化されているので分かりません」とこれまで答えていた部分が、仮説という形で少し道が見えるようになってきます

仮説を立てられるようになるにはまず基礎的な知識を身に着け、絶えず磨き上げていくことが不可欠です。

今回はこのブラックボックスを読み解く力の重要性と、その身に付け方についてご紹介します。

ブラックボックスを読み解く力を身につけるメリット

数値改善の最短ルートを見極められる

広告運用において施策の実施はいつでもできるものではありません。

準備期間・検証期間や各施策の相互関係を考慮すると1月に実施可能な施策は3施策ほどになることが多いのではないでしょうか。

また、繁忙期はリスクのある施策ができないといったように、施策実施が可能な期間に制限がある業種も多いでしょう。

そうすると手あたり次第に施策を進めるのではなく、より効果が見込まれる施策を優先的に実施していく必要があります。

その際に広告側の自動化エンジンがどの要素を学習しているか、その中でもどの要素を重要視しているかを知ることで、優先順位を整理して施策を実施できます

つまり、自動化エンジンの中を知ることで、数値改善への最短ルートを見つけられます

分析の幅が広がる

自動化エンジンを用いた入札・クリエイティブの調整が行われると、考察をする際に「ここからは自動化エンジンが調整をした部分なので説明が難しい」と思われたことが運用者であれば誰でもあるのではないかと思います。

そのような場面で、自動化エンジンがどのように働くかを仮説立てできれば、より深く考察できるようになります。

また、自動化エンジンの学習要素を把握していると、実施した施策と結果の因果関係を説明可能になります。

このように考察や分析においても表面上の説明だけでなく、自動化エンジンの働きまで説明できると、より一層運用者が介在している価値を提供できるようになります。

身につけるための4ステップ

今回は例としてCriteoの自動化エンジンに関して理解するプロセスを4ステップに分けてご紹介します。

①媒体の思想を理解する
②自動化エンジンの特徴や役割を理解する
③自動化エンジンに変化を与える変数が何か理解する
④磨き上げ

まずは媒体の思想を理解した後に、自動化エンジンの役割を順を追って理解していきます。
ぜひ実際に①~④に沿って進めてみてください。

①媒体の思想を理解する

自動化エンジンは媒体の思想をベースにしていることが多いため、各媒体が何を重要視しているかを知っておくことが重要です。

媒体の思想がアップデートされることもありますので、最新情報をチェックしておきましょう。

②自動化エンジンの特徴や役割を理解する

自動化エンジンについて概要までであれば開示されていることが多くあります。

Criteoでも公式に自動化エンジンについて公開されている情報があるので、自動化エンジンが重視しているものや調整を行っている内容を知ることができます。

③自動化エンジンに変化を与える変数が何か理解する

Criteoの自動化エンジンでは「DCO+」「予測入札」「商品レコメンド」の3つの役割があり、それぞれについてどの様な役割を担っているかが開示されています。

この開示されている情報を基に、各役割で使用される要素を予測します。

例えば「予測入札」であればユーザーの行動履歴が重要視されることが分かるため、改善にはタグの改善が有効なことを予測できます。

④磨き上げ

ここまで情報を揃えられれば、ついに自動化エンジンがどのように働いているのかを仮説立てできるようになってきます。

しかしその仮説が合っているのかについては、詳細が開示されていない分、判断が非常に難しいです。

そのため自動化エンジンの理解や仮説については絶えず磨き上げを繰り返していくことが重要です。磨き上げ方には何通りか方法がありますので次で紹介します。

より力を伸ばすための磨き上げ方

日々の運用の中で思考を巡らす

入札変更、日予算変更、タグの変更など、運用者は日々の調整を行う中で、その変更がどのように自動化エンジンに影響し、どのような結果をもたらすのかを考えるトレーニングをしてみてください

管理画面から見えるのは変更箇所と、それによるCTRの変化といった結果のみとなります。

その間で何が起っているのかを仮説立てることで、自分自身がまだ理解し切れていない部分が見えてきます。ぜひその部分については下記の2手法で解決してみてください。

媒体社へ質問

自動化エンジンの働きの答えは媒体社のみ知る情報になります。また、媒体社は公に開示されていない自動化エンジンの特性を把握していることが多いです。

そのため角度を変えて繰り返し質問すると回答してくれますし、代理店側で考えた仮説に対するフィードバックをしっかりしてくれる傾向があります。

媒体社への質問で、自分の仮説の誤っている点に気づくことができ、PDCAを回すことができます。

また上記のような場面で媒体社から伺える自動化エンジンに関する内容は、仕様書には明記されていないことも多いです。

このような公にはなっていない情報も含めて仮説検証を行えるかは運用者や広告代理店としての差別化にも繋がっていきます。

社内の運用者でディスカッション

自分だけでは凝り固まった考えになることもしばしば。

代理店であれば複数の運用者が在籍していると思います。

自動化エンジンをテーマに運用者同士でディスカッションをしてみると、他者の考えをヒントに新たな発見を得られることも。

ディスカッションする際は、自身と異なる意見でもまずは耳を傾けてみて、そんな捉え方もあるかもしれないと受け入れることから始めてみてください。

最後に

ブラックボックスを読み解く力、既に身についていますでしょうか。
自動化エンジンは日々進化していきますので、ゴールはなく常に磨き上げが必要と考えています。

これまで自動化エンジンの働きをあまり想像していなかった方は、まずは自分の中で仮説を立てる、という部分からスタートしていただければと思います。