2022年2月7日 最新の仕様にあわせて更新

みなさんは、動的検索広告をご存知ですか?

動的検索広告とは、検索連動型広告(リスティング広告)の一種で、キーワードではなくURLを指定することで、ページに関連する検索語句をGoogle 広告・Yahoo!広告が自動的に選んで配信する広告です。

本記事では、動的検索広告(DSA・DAS)の概要、通常の検索連動型広告(リスティング広告)との違いや併用、運用ポイントを解説します。

動的検索広告(DSA・DAS)とは?

動的検索広告とは、検索連動型広告(リスティング広告)の一種です。

あらかじめ、キーワードではなく遷移させたいページのURL群を指定することで、ページのコンテンツと関連性の高い検索語句に対して、広告を配信します。広告のタイトルは自動で生成されます。

Googleによると「毎日発生する何十億件もの検索語句のうち 15% は、それまでになかった新しいもの」とされており、ユーザの検索行動は日々変化しています。これにより、従来の検索連動型広告(リスティング広告)では、広告運用者がLP(ランディングページ)からキーワードを想定・設定する作業が煩雑になってきました。

そこで、キーワードではなくLPとなるURLを指定することで、広告システムがページに関連する検索語句を自動的に選んで広告配信をする、動的検索広告が登場しました。

※サービス名称はGoogle 広告とYahoo!広告で異なりますが、本記事では両媒体ともに「動的検索広告」と表記します。

  • Google 広告:動的検索広告(Dynamic Search Ads 、以下DSA)
  • Yahoo!広告:動的検索連動型広告(Dynamic Ads for Search、以下DAS)

動的検索広告と通常の検索連動型広告との違い

動的検索広告は検索連動型広告の一種のため、実際に検索ユーザーに表示される広告は同じような見た目ですが、通常の検索連動型広告と異なり、キーワードの代わりに対象ページを指定することが特徴です。

通常の検索連動型広告(リスティング広告)の主な設定項目・表示される項目・LP

通常の検索連動型広告(リスティング広告)イメージ
通常の検索連動型広告(リスティング広告)イメージ

動的検索広告の主な設定項目・表示される項目・LP

動的検索広告イメージ
動的検索広告イメージ

動的検索広告と通常の検索連動型広告との違い

     通常の検索連動型広告動的検索広告
主な設定項目
キーワード×
入札単価
※最小粒度:キーワード

※最小粒度:動的広告ターゲット
広告(タイトル)×
広告(説明文)
最終リンク先URL×
※代わりに「ドメイン」「ページフィード」「動的広告ターゲット」などを設定
表示される広告「ユーザーが入力した検索語句」が「設定したキーワード」に合致していれば、「設定したタイトル・説明文の広告」が表示される「ユーザーが入力した検索語句」が「設定したリンクURL群のWebサイト内の要素」と合致していれば、「合致するWebサイト内の要素(titleタグなど)から生成されたタイトルの広告」が表示される
※説明文は「設定した説明文」が表示される
LP(ランディングページ)設定した最終リンク先URLのWebページ「設定したリンク先URL群」の中で、「ユーザーの入力した検索語句」と合致したWebページ
動的検索広告と通常の検索連動型広告との違い
DSAの例

国際的なホテルチェーンを運営しているとします。Google で「高級ホテル 東京」という語句を検索したユーザーに、「高級ホテル – 東京」という見出しの広告が表示されます。ユーザーがこの広告をクリックすると、東京の高級ホテルを紹介しているお客様のサイトが表示されます。(Google 広告より

Google 広告「DSA」と、Yahoo!広告「DAS」との違い

結論として、大きな違いはありません

設定方法などの細かい違いはありますが、どちらも「キーワードではなくURLを指定することで、ページに関連する検索語句を広告システムが自動的に選んで広告配信をする」という、同様の考え方で配信されます。

当初は「Google 広告の動的検索広告ではできた設定がYahoo!広告の動的検索広告ではできない」こともありましたが、2021年には下記すべてが解消され、両媒体ともにほぼ同じように設定できるようになりました。

ただし、配信システムとしてはGoogle 広告・Yahoo!広告で異なるため、まったく同じような配信結果になるわけではありません。

(参考)過去にあった媒体ごとの動的検索広告の違い

・Yahoo!広告では、ページフィードが必須で、ドメインのみでの設定ができない
 →両媒体ともドメインのみでも設定できるようになった

・Yahoo!広告では、説明文2が存在しない
 →両媒体とも説明文1・2を設定できるようになった

・Yahoo!広告では説明文の文字数上限が半角80文字(Google 広告の説明文の文字数上限は半角90文字)
 →両媒体とも、説明文の文字数上限は半角90文字になった

動的検索広告のメリット

動的検索広告のメリットは下記の5つがあげられます。うまく活用すれば、キーワードを設定する通常の検索連動型広告よりも工数削減の上、高い広告効果を発揮できます

  • 流入数の拡大:キーワードで網羅しきれなかった検索語句にも広告を掲載できるため、トラフィックや売上を伸ばせる。また、関連性の高いタイトルを自動生成するため、クリックされやすい広告を配信できる。
  • 工数の削減:タイトルやキーワードの設定が不要となり、運用工数が削減できる。
  • タイトル自動生成:サイト掲載商品と関連性が高い語句で検索が行われると、その語句やLPで使われている語句を見出しに使った広告が生成される
  • 柔軟な管理:在庫切れ商品ページを、広告に表示させない設定が可能
  • 広告の自動更新:Webサイトの内容が更新されると、広告内容も自動的に更新される

動的検索広告と相性のよい広告主

以下の2つを満たす広告主は、動的検索広告の効果を最大化しやすいでしょう。

  1. 多種多様な商品在庫・サービスを持っている広告主(ECサイトや不動産サイトなど)
  2. SEOを意識したWebサイトを持つ広告主

1. について、長々としたキーワードを作成する必要がないDSAは、ECサイトなどの検索連動型広告の運用時に、キーワード登録やLP設定が膨大になる広告主の運用コスト削減に有効です。Webサイトの商品在庫の新陳代謝が激しい場合や、季節によって商品・サービスの種類に影響が出る場合も同様です。

2. について、動的検索広告の広告見出しは検索された語句とLPによって自動的に生成されるため、しっかりとSEO対策がなされたWebサイトであれば検索語句と広告の関連性を高め、効果の高い動的検索運用が可能になります。

動的検索広告が推奨されないケース

動的検索広告には上述のように多数のメリットがありますが、下記のように動的検索広告が向いていない場合もあります。

掲載されるコンテンツが頻繁に変わる

日替わりでセールを実施している場合など、更新内容が直ちに反映されるとは限りません。

広告表現やオーディエンスを厳密に管理する必要がある

動的検索広告はページのコンテンツに基づいて、ユーザーの検索語句に反応し、広告タイトルが自動生成されます。

広告表現やオーディエンスを厳密に管理する必要がある業種、例えば

  • 独自の広告規制をしている業種(士業など)
  • 適切なオーディエンスを設定する必要がある業種(アルコール・結婚紹介など)
  • その他、決まった広告表現しか使えない場合

は、動的検索広告は推奨されません。

画像を主に含むサイトや、閲覧にログインが必要なサイト

動的検索広告は、ページ内のテキストをもとに、ユーザーの検索語句と一致するか識別します。そのため、

  • Flash コンテンツや画像を主に含むサイト
  • ログインしなければコンテンツの大部分にアクセスできないサイト

などでは内容を自動で取得できず、効果を発揮できません。

動的検索広告と通常の検索連動型広告との併用

同一アカウント内で「動的検索広告」と「通常の(キーワードを設定する)検索連動型広告」を併用していて、どちらにも当てはまる検索があった場合、以下の挙動になります。

  1. ユーザーの検索語句が、通常の検索連動型広告で設定しているキーワードに、完全に一致する場合
    通常の検索連動型広告が表示される
  2. ユーザーの検索語句が、通常の検索連動型広告で設定しているキーワードに、部分一致またはフレーズ一致で合致する場合
    広告ランクが高いほうが表示される

つまり、積極的に配信したいキーワードは通常の検索連動型広告に「完全一致」で登録を検討し、DSAは⾃主的に発⾒することができないキーワードで配信を狙うなど、目的に応じてキャンペーンを併用することも運用方法の一つです。

動的検索広告の活用事例

動的検索広告と相性のよい広告主が動的検索広告とキーワードを上手に活用すると、競合が少ないテールキーワードの使用によってCPC(平均クリック単価)を抑え、検索キーワードとリンク先の合致によってコンバージョン数を増加させることも可能です。

たとえば、Inside AdWords-Japanの動的検索広告の導入成功事例によると株式会社リクルートライフスタイルは、ホテルの宿泊予約などを運営するじゃらんnetにおいてDSAを活用し、高い効果を上げたといいます。

じゃらんnetがDSAを導入したところ、運用開始後6週間でコンバージョン数が9%増加。また、他のキーワードに基づく検索連動型広告と比較したところ、DSAのCTR(クリック率)は7%高く、CPCとCPA(平均コンバージョン単価)は50%以上低くできたといいます(下図参照)。

キーワードキャンペーンと動的検索広告とのパフォーマンス比較
(画像引用:リクルートライフスタイル、動的検索広告活用の効果 [Inside AdWords-Japan] 動的検索広告の導入成功事例 – ロングテールの検索語句の掘り起こしと広告運用の効率化に成功より)

さらに、じゃらんnetはDSA導入以前から数百万ものキーワードを運用していましたが、ユーザーのニーズをより満たすためにはテールキーワードの強化が必要だと考えていました。

DSA運用開始後は、タイプミスや施設の特徴を示す語句での検索など、キーワードキャンペーンのみではカバーできなかった、ロングテールワードからのコンバージョンを発見しました。その後、DSAによって発見されたキーワードを通常のキーワードとして入稿し、DSAとキーワードキャンペーンを相互補完的に活用するようになったといいます。

キーワードキャンペーンと動的検索広告の運用サイクル
(画像引用:[Inside AdWords-Japan] 動的検索広告の導入成功事例 – ロングテールの検索語句の掘り起こしと広告運用の効率化に成功より)

このように、リクルートライフスタイルはDSAを活用することにより、ユーザーの多様な検索語句や更新され続けるホテル情報にキーワードのみで対応する必要がなくなり、効率よく広告運用ができるようになったそうです。

動的検索広告とページフィード

動的検索広告で用いる「ページフィード」とは、プロモーション対象とするWebサイトのURL情報のリストです

動的検索広告の設定は、ページフィードを用いず「ドメインのみ」設定することも可能ですが、ページフィードを活用すると、商品ページ数が多いECサイトなどでも、ROIの低いページが表示されないようにコントロールできるというメリットがあります。

各指定方法の利用イメージは、下記のとおりです。

動的検索広告とページフィード
動的検索広告とページフィード(画像引用:動的検索連動広告(DAS) 新規ウェブページ指定方法について|Yahoo!広告公式ラーニングポータル

※Google 広告のDSAでは、ドメインは必須設定項目となります(「ページフィードのみ」の設定はできません)

動的検索広告の運用ポイント

これまでは動的検索広告の概要について解説しました。本章では、実際に動的検索広告を運用するにあたって、ポイントとなる項目を解説します。

検索語句の確認および除外キーワード設定

キーワードの網羅性が⾼いというメリットは、意図しないキーワードで配信されるデメリットでもあります。

動的検索広告においても通常の検索連動型広告と同様に「実際にユーザーが検索した語句」を確認できますので、必要に応じて「除外キーワード」を設定しましょう。

ランディングページURLの確認およびページフィード・動的広告ターゲットでのページ除外設定

例えばSEO対策としてドメイン内に記事系コンテンツが豊富なWebサイトの場合、動的検索広告では記事系コンテンツをリンク先とした広告が多く配信される場合があります。

両媒体ともに動的検索広告のランディングページURLを確認できるレポートがありますので、URLごとに成果を確認し、必要に応じて収益につながらないページを除外しましょう。

自動入札機能と検索広告向けリマーケティング リスト(RLSA)を組み合わせる

広告表示が自動的に行われる動的検索広告には、自動入札が最適です。

自動入札を適用しない場合、広告グループに入札価格を設定するか、さらに下層のターゲットごとに入札価格を調整することしかできません。

通常の検索連動型広告よりもおおまかな調整しかできないため、はたして入札を強めるべきか・弱めるべきか、判断が難しいところです。

自動入札を適用すれば、オークション時のシグナル(ユーザーが実際の検索に使用した語句など)に基づいて入札単価が自動に設定されるため、手動入札よりも成果が見込めます。

また、通常の検索連動型広告と同じく、「検索広告向けリマーケティング リスト」を設定することで、自動入札のシグナルが増え、さらに成果改善が見込めます。

(※ただし、自動入札の機械学習がある程度進んでいる状態に限ります)

アカウント構造(広告グループでの管理)

工数を削減できる動的検索広告ですが、商材やコンテンツが多いドメインでは、カテゴリなどに応じて広告グループを分けましょう。

通常の検索連動型広告と同じく、ユーザーの検索意図やCVRが明らかに異なるページを分ける(同じようなページをまとめる)ことにより、URLや検索キーワードの分析・管理がよりスムーズになりますし、自動入札の目標数値の設定もしやすくなります。

さいごに

本記事を通して、動的検索広告が検索連動型広告(リスティング広告)で補えない検索を、少ない工数でカバーできる強力なツールであることがお分かりいただけたでしょうか。

検索連動型広告はキーワードでの運用が基本ではありますが、動的検索広告導入のメリット・デメリットを検討した上で、自社との相性がよいと判断された広告主の方は、ぜひ動的検索広告を取り入れてみてください。